今年は香水に関する本を読んで、より香水を楽しんで行こうと思います。
目標は月2冊。
旅行に行く前、旅先の歴史に関する本を読むと、訪れた際に地形や遺跡の理解が深まり古の景色が見えるような気がします。
香水はその香り自体は目に見えるものがないので、香料の原産地やエピソードを知ると想像の幅が広がって楽しいと思い、初めてみました。
一冊目はゲラン 香りの世界への旅
ジャン-ポール・ゲラン著、フレグランスジャーナル社*1より2004年に出版されています。
著者
まず、著者のジャン-ポール・ゲラン氏ですが、ゲランの4代目調香師でありナエマ・シャンゼリゼ・サムサラ等数々の名香を作り出しています。また、ゲラン社は創業以来同族経営を行ってきましたが1997年頃よりLVMH社*2の傘下に入りました。つまり、著者は同族経営〜LVMH傘下の変遷の最中に調香師をされていました。
概要
そんな経歴を持つ著者ですが、本著はゲランの本店であるシャンゼリゼ通り店で過ごした幼い頃のエピソードから始まります。
第二次世界大戦の思い出、失明、そして祖父であり3代目調香師のジャック・ゲランから後継に指名され、香水ではない部門で修行を開始します。
そして調香した香水である、シャンダロームやサムサラ、ナエマのエピソード。今は香水を紹介される際に香調や香料の話になることが多いのですが、この本では香りとミューズの話が取り上げられていて違う楽しみがあります。
本の後半では香料を探す旅のお話です。現在の調香師、5代目のティエリー・ワッサー氏も世界中へ香料の原材料を探す旅に出ている話をよく聞きますが、本書でも原材料を探す冒険に出かけます。
麝香を探しにネパールへ、イランイランの買付にマヨットへ、ジャスミンを探しにインドへ。
ネパールへの旅は1969年、54年前の旅は小説の中の世界のように感じました。著者の描写力が素晴らしく、旅先の景色がカラフルに目の前へ浮かんできます。今でも愛され、販売されている香水の香料がどのように作られていたのか、どのように調達していたのか知るのが非常に楽しかったです。
最後に著者と料理に関する章があります。確かに料理と香水は材料、そしてスパイスが大事な点が似ていますし、サフランなどのスパイスはそもそ香水に入っている香料なので非常に納得しました。